英単語の覚え方として、日本の学校でいちばん熱心に勧められてきたのは、おそらく「ノートに10回書く」です。手は疲れるのに、翌週の小テストでは思い出せない。あの経験は、記憶力が悪いせいではありません。やり方が、記憶の仕組みと少しずれていただけです。
覚えるために必要なのは、書く回数ではなく思い出す回数です。それも、忘れかけたころに思い出すのがいちばん効きます。単語を見て意味を言う、意味から英語を言う、音を聞いて綴りを書く。この思い出す作業を、翌日、3日後、1週間後と間隔を広げながら繰り返します。間隔反復と呼ばれるこのやり方は、記憶の研究では百年以上前から知られている原則です。

英単語の覚え方でよくある遠回り
何度も書く
書くことには意味があります。綴りを確かめるには、一度か二度書くのが確実です。問題は10回目のほうで、3回目あたりから頭はほとんど働いていません。手が覚えるのは文字の形で、意味と音のつながりではないのです。
単語集を1ページ目から順に
アルファベット順の単語集で勉強すると、最初に出てくるabandon(見捨てる)だけがやけに詳しくなる、という冗談があります。やり直すたびに1ページ目に戻るので、同じ場所ばかり復習することになるからです。復習は、ページの順ではなく、忘れかけた単語の順にするのが本来の形です。
1語に1つの訳
getは「得る」、runは「走る」。こうして1対1で覚えると、「run a company(会社を経営する)」や「get to the station(駅に着く)」で手が止まります。よく使う単語ほど意味の幅が広いので、訳語を一つだけ覚えるのは危険です。
目で見るだけ
音を聞かずに覚えた単語は、頭の中ではカタカナで保存されます。読めば分かるのに、聞くと分からない単語が多い人は、たいていこの覚え方をしてきています。
忘れる直前に思い出す:間隔反復の使い方
忘却曲線という言葉を聞いたことがあるかもしれません。新しく覚えたことは、何もしなければ最初の数日で急速に忘れていきます。ところが、忘れかけたところで一度思い出すと、次に忘れるまでの期間が長くなります。これを何度か繰り返すと、単語は長く残るようになります。
復習の間隔は、おおよそ次のように広げていくのが目安です。
| 復習 | タイミング |
|---|---|
| 1回目 | 覚えた日の夜 |
| 2回目 | 翌日 |
| 3回目 | 3日後 |
| 4回目 | 1週間後 |
| 5回目 | 2〜3週間後 |
| 6回目 | 1〜2か月後 |
思い出せなかった単語は、間隔を最初に戻します。紙の単語カードでも、箱を何段かに分けて、思い出せたら次の箱へ、忘れていたら最初の箱へ、と移していけば同じことができます。ただ、管理は正直に言って面倒です。数百語を超えたあたりで、たいていの人は箱の整理に疲れてしまいます。
Qlangoは、この管理を引き受けてくれます。覚えた単語は忘れそうになる直前に復習として戻ってきますし、答え方も、4つから選ぶ、文を組み立てる、自分で書く、ペアを探す、といくつもの形があります。選択肢を見れば分かる単語と、自分で書ける単語は別物なので、同じ単語に違う答え方で何度も出会うことには意味があります。聞いて書くディクテーションもあり、Wordleや、友達や他の学習者と対戦するWord Duelで遊びながら復習することもできます。英語のコースは日本語から学べ、A1からC2まであります。ほかの言語とレベルは対応言語の一覧で確認できます。
カタカナ語は味方にも敵にもなる
日本語には英語から来たカタカナ語が大量にあり、これは大きな貯金です。computer、table、coffeeを今から覚える必要はありません。ただし、意味がずれている言葉と、日本で作られた和製英語が混じっています。代表的なものを挙げます。
| カタカナ語 | 英語ではこう言う | 落とし穴 |
|---|---|---|
| マンション | apartment(英:flat) | mansionは大邸宅 |
| コンセント | outlet(英:socket) | consentは「同意」 |
| ノートパソコン | laptop | notebookは普通、紙のノート |
| クレーム | complaint | claimは「主張する、請求する」 |
| サラリーマン | office worker | 英語では一般的な言い方ではない |
| ガソリンスタンド | gas station(英:petrol station) | standとは言わない |
| ペットボトル | plastic bottle | PETは素材の名前 |
| フライドポテト | fries(英:chips) | イギリスのcrispsはポテトチップス |
| シャープペンシル | mechanical pencil | sharp pencilは「とがった鉛筆」 |
| テンションが高い | excited, energetic | tensionは「緊張」 |
カタカナ語は、発音の面でも罠になります。単語集の英語の下にカタカナで読み方を書き込むのは、今日からやめてください。カタカナで書いた瞬間、strikeは「ストライク」の5拍で記憶されます。読み方は音声で確かめ、口で覚えるものです。




