「約束」は韓国語で약속(ヤクソク)、「家族」は가족(カジョク)、「無理」は무리(ムリ)。韓国語を独学で始めた日本語話者は、最初の数週間でこういう発見を何十回もすることになります。
韓国語は、独学で十分に始められる言語です。日本語と語順がほぼ同じで、助詞の使い方も近く、漢字に由来する言葉が大量に共通しています。最初の1〜2週間でハングルを読めるようにし、その後は毎日30分を半年続ければ、簡単な日常会話と、TOPIK I(初級)の受験が現実的な目標になります。壁はむしろ発音にあり、そこでは日本語の感覚がかえって邪魔をします。
韓国語の独学で日本語話者が有利な理由
語順と助詞がほぼ同じ
「저는 학교에 가요.」は「私は学校に行きます」です。저는が「私は」、학교에が「学校に」、가요が「行きます」。単語を一つずつ置き換えていけば、そのまま文になります。助詞も、은/는が「は」、이/가が「が」、을/를が「を」、에が「に」、에서が「で」、도が「も」と、かなりの部分で対応します。英語を学んだときのように、文を後ろから組み立て直す必要はありません。
もちろん、まったく同じではありません。「は」と「が」の使い分けと、은/는と이/가の使い分けは似ていますが、ずれる場面もあります。それでも、助詞という仕組みそのものを説明されなくても分かるのは、英語話者にはない大きな利点です。
漢字語が共通している
韓国語の語彙のかなりの部分は、漢字に由来する言葉です。今の韓国では日常的に漢字を書くことはほとんどありませんが、音は残っていて、日本語の音読みと似ているものが多くあります。
| 日本語 | 韓国語 | 読み(カタカナは目安) |
|---|---|---|
| 約束 | 약속 | ヤクソク |
| 家族 | 가족 | カジョク |
| 準備 | 준비 | チュンビ |
| 気分 | 기분 | キブン |
| 料理 | 요리 | ヨリ |
| 簡単 | 간단 | カンダン |
| 地下鉄 | 지하철 | チハチョル |
ただし、同じ漢字でも意味がずれる言葉があります。韓国語の공부(工夫)は「勉強」のことですし、애인(愛人)は「恋人」で、日本語の「愛人」のような後ろ暗い響きはありません。ドラマで「내 애인이야」と紹介されても、驚く必要はないわけです。
敬語の感覚がある
韓国語にも、相手や場面によって話し方を変える仕組みがあります。日本語で「です・ます」とタメ口を使い分けている人には、この感覚はすでに身についています。
日本語話者がつまずくところ
パッチム
韓国語の音節は、子音で終わることがよくあります。この最後の子音をパッチムと呼びます。밥(ご飯)は「パブ」ではなく、唇を閉じたところで音が止まります。日本語は「ん」以外ほぼ母音で終わる言語なので、つい母音を足してしまいます。
平音・激音・濃音
日本語は「か」と「が」のように、声帯が震えるかどうかで音を区別します。韓国語の子音は、息の強さと喉の緊張で区別します。달(月)、탈(仮面)、딸(娘)は、日本語の耳にはどれも「タル」に近く聞こえますが、まったく別の単語です。さらにㄱは、語頭では「k」に近く、母音にはさまれると「g」に近くなります。고기(肉)が「コギ」と聞こえるのはそのためです。
어と오、으と우
日本語の「お」に当たる母音が二つ、「う」に当たる母音が二つあります。어は口を縦に大きく開けた「オ」、오は唇を丸めた「オ」。으は唇を横に引いた「ウ」、우は唇を丸めて突き出した「ウ」です。
書いてあるとおりに読まない
한국어(韓国語)は、パッチムが次の母音とつながって「ハングゴ」のように発音されます。합니다は「ハムニダ」になります。こうした音の変化には規則がありますが、規則表を眺めるより、たくさん聞いて口で覚えるほうが早く身につきます。
話し方のレベル
ドラマで聞こえてくる韓国語の多くは、友人や家族の間で使うパンマル(반말)です。初対面の人や店員にパンマルで話すと、失礼に聞こえます。まずは丁寧で柔らかい해요体を基本にし、パンマルは聞いて分かれば十分、という順番をすすめます。
ハングルは1〜2週間で読める
ハングルは15世紀に作られた文字で、子音と母音の部品を組み合わせて一つの音節を書きます。基本の子音が14、基本の母音が10。数は少なく、仕組みは驚くほど論理的です。
- 最初の3日で、基本の母音10個と、ㄱ・ㄴ・ㄷ・ㄹ・ㅁ・ㅂ・ㅅ・ㅇ・ㅈを覚え、가・나・다のように組み合わせて読みます。
- 次の3日で、残りの基本子音ㅊ・ㅋ・ㅌ・ㅍ・ㅎと、濃音のㄲ・ㄸ・ㅃ・ㅆ・ㅉを加えます。
- 2週目は、パッチムのある音節と、二重母音を読めるようにします。
- 仕上げに、自分の名前や好きな曲のタイトル、ソウルや釜山の駅名をハングルで書いてみます。
2週間後、ゆっくりでもハングルが読めるようになっていれば、本格的な学習の準備は整っています。
韓国語の独学はどれくらいかかるか
アメリカ国務省の外交官養成機関(FSI)は、韓国語を、英語話者にとって習得に最も時間がかかるグループに分類しています。ただしこれは英語を母語とする人のための目安で、日本語話者についての公式な数字はありません。語順も助詞も漢字語も共通している日本語話者は、英語話者よりずっと近い位置から出発します。
毎日30分を前提に、独学の目安を書いておきます。
- 最初の2週間: ハングルが読めるようになる。
- 1〜3か月: 해요体で、自己紹介、買い物、好きなものの話ができる(A1)。
- 4〜6か月: 身近な話題で短いやりとりができる(A2)。TOPIK Iの受験が視野に入る。
- 1年〜1年半: 旅行や趣味の話を続けられる(B1)。TOPIK IIで3級あたりを狙える。
韓国語能力試験のTOPIKは、TOPIK Iが1〜2級、TOPIK IIが3〜6級です。国内で受けられるハングル能力検定試験(ハン検)もあり、どちらも目標を決めるのに役立ちます。
独学で話せるようになるか
なります。ただし、読む練習と話す練習は別物です。単語を目で覚えるだけでは、いざというときに口から出てきません。毎日5分でいいので、その日に覚えた表現を使って韓国語で独り言を言ってください。「오늘은 바빠요.」(今日は忙しいです)、「커피 마시고 싶어요.」(コーヒーが飲みたいです)。この程度の短い文で十分です。
相手が欲しくなったら、文字のチャットから始めるのが気楽です。考える時間があり、分からない言葉はその場で調べられます。韓国へ旅行に行くなら、注文と買い物は全部韓国語でやると決めておくと、それまでの独学がどこまで通じるかがはっきり分かります。
ドラマと推しは教材になるか
なります。好きなドラマの台詞や推しの言葉をそのまま理解したい、というのは十分に強い動機です。ただ、ドラマの韓国語は速く、パンマルが多く、若者言葉も混じります。いきなり1話を丸ごと理解しようとせず、30秒ほどのワンシーンを選んで、10回聞き、台詞を書き取り、まねして言ってみる。この使い方なら、ドラマはとても優秀な教材になります。
日本語から直接、韓国語を学ぶ
韓国語の教材やアプリには、英語話者向けに作られたものが少なくありません。英語を通して韓国語を学ぶと、語順が逆の言語を経由して、日本語とよく似た言語を学ぶという遠回りになります。은/는を「topic marker」と英語で説明されるより、「『は』に近い」と言われたほうが、日本語話者にはずっと早いのです。
Qlangoでは、コースを追加するときに学ぶために使う言語を選べるので、韓国語を日本語から直接学べます。韓国語のコースはA1からB2まで。単語や例文はAIで生成した音声で聞けて、速度を落とせば달と탈と딸の違いもじっくり確かめられます。ディクテーションでパッチムを聞き分ける練習もでき、Word Duelでは友達や他の学習者と単語で対戦できます。ほかに対応している言語とレベルは対応言語の一覧で確認できます。単語を忘れにくくする復習のしかたは英単語の覚え方の記事に書いたものが、韓国語にもそのまま使えます。漢字の知識をもっと直接生かせる言語に興味があるなら、中国語の独学についての記事もどうぞ。
今日はハングルの基本母音10個を、紙に書き出すところから始めてください。そのあとQlangoで韓国語のコースを追加し、学ぶための言語に日本語を選べば、A1の最初のレッスンで、さっき書いた文字がもう読めることに気づくはずです。



